モッツァレラチーズをカリカリに焼くのおつまみ、魅力的ですよね。でも、いざフライパンで試してみたらうまく固まらず、ベチャッとなってしまった経験はありませんか。
実は、パリパリチーズやチーズせんべいを作る方法は、フライパンだけではありません。ご家庭にあるレンジやトースターでも、手軽に作ることが可能です。
この記事では、モッツァレラチーズやピザ用チーズを使った基本的な作り方から、人気のベーコン巻き、風味豊かなネギや満足感のあるポテトを使ったアレンジ、さらにサラダへの活用法まで、失敗しないコツを詳しく解説します。
- フライパンやレンジなど調理器具ごとの焼き方の違い
- 失敗せずカリカリにするための具体的なコツ
- ベーコン巻きやサラダなど定番のアレンジレシピ
- モッツァレラとピザ用チーズの仕上がりの差
モッツァレラチーズをカリカリに焼く基本のコツ
- フライパンで作る基本のパリパリチーズ
- レンジで簡単なチーズせんべいのコツ
- トースターでの焼き方
フライパンで作る基本のパリパリチーズ

お店で提供されるような、本格的で香ばしい「パリパリチーズ」の食感を追求するならば、フライパンでの調理が最も適した方法です。この方法の成功は、いかに「水分を飛ばすか」と「火加減を一定に保つか」にかかっています。
フライパン調理の手順
調理に必要なのは、チーズ(モッツァレラまたはピザ用)のみです。フライパンのコーティングがしっかりしていれば、油を引く必要は一切ありません。
- フライパンの選定
- まず、テフロン加工(フッ素樹脂加工)やマーブルコートなど、焦げ付き防止加工が施されたフライパンを用意してください。チーズに含まれるタンパク質は加熱すると金属と結合しやすいため、加工が剥がれているフライパンではチーズが張り付いてしまい、うまく剥がせません。
- チーズの配置
- フライパンにチーズを広げます。この時、チーズ同士が厚く重ならないよう、できるだけ均一な薄さに広げることが、ムラなく加熱するコツです。
- 火加減(最重要)
- コンロの火は必ず「弱火」に設定してください。早く作りたい一心で強火にすると、チーズ内部の水分が蒸発しきる前に、外側だけが焦げ付いてしまいます。
- 加熱と観察
- 弱火でじっくりと加熱を続けます。するとチーズが溶け出し、やがて含まれる水分が蒸発して「フツフツ」と細かく泡立ってきます。これはチーズから分離した油分(バターファット)でチーズ自身を揚げているような状態です。縁がキツネ色に変わり始めたら、焼き上がりが近い合図です。
- 仕上げ
- 全体が固まり、裏面にお好みの焼き色がついたら火を止めます。片面焼きでも十分にカリカリになりますが、より香ばしさを求める場合は、フライ返しでそっと裏返し、反対側も数十秒さっと焼くと良いでしょう。
- 油切りと冷却
- フライパンから取り出し、キッチンペーパーや網の上で冷まします。この冷却過程で余分な油が切れ、残った水分が蒸発することで、食感が「カリカリ」から「パリパリ」へと変化します。
なぜ失敗する?カリカリにならない原因

モッツァレラチーズで「カリカリ」を作ろうとして失敗する主な原因は、チーズが持つ「水分量」と、調理時の「火加減」という2つの要素に集約されます。
- 水分の問題
- 特にスーパーなどで見かける、水に浸かったボール状のフレッシュモッツァレラチーズは、製品にもよりますが約50%〜60%が水分です。(出典:雪印メグミルク株式会社 チーズクラブ「チーズのきほん」)この大量の水分を弱火でじっくりと蒸発させなければ、単に高温で加熱されたチーズは溶けてベチャッとした状態(いわゆる「チーズソース」)になってしまいます。一方、ピザ用として販売されているシュレッドチーズは、もともと水分量が40%〜50%程度と少なく、加熱調理用に調整されているため、比較的短時間で水分が飛び、カリカリになりやすい特性があります。
- 火加減の問題
- 高温で一気に加熱すると、チーズのタンパク質が急激に固まり、水分を内部に閉じ込めたまま表面だけが焦げてしまいます。カリカリ食感は、水分が抜けたチーズが適度に「焼けた」状態です。これを実現するためには、焦げ(タンパク質の炭化)が始まる温度よりも低い温度(弱火)で、水分だけをじっくりと蒸発させる時間が必要不可欠です。
モッツァレラとピザ用チーズの違い
どちらのチーズでもカリカリチーズは作れますが、使用するチーズの種類によって、仕上がりの食感や風味、そして調理の難易度が異なります。
- モッツァレラチーズ(特にフレッシュタイプ)
- 特徴
- ミルキーでフレッシュな風味が強く、上品な味わいに仕上がります。
- 難易度
- 前述の通り水分が非常に多いため、パリパリになるまで弱火でじっくりと焼く時間(根気)が必要です。水分が抜けきるまでに時間がかかるため、油断すると焦げやすい側面もあります。
- コツ
- もしフレッシュタイプを使う場合は、キッチンペーパーで水気をよく拭き取ってから使うと、調理時間を短縮できます。
- 特徴
- ピザ用チーズ(ミックスチーズ、シュレッドチーズ)
- 特徴
- 水分が少なく調整されており、油分が適度に含まれているため、短時間でカリカリ・パリパリの食感になりやすいです。複数のチーズ(ゴーダ、チェダーなど)がミックスされていることが多く、濃厚で香ばしい風味に仕上がります。
- 難易度
- 初心者の方でも失敗しにくく、最も簡単な選択肢と言えます。
- 補足
- ピザ用チーズには、チーズ同士がくっつくのを防ぐため「セルロース(食物繊維)」がまぶされていることがありますが、これが加熱時に余分な水分を吸う一助となり、よりカリッとした食感を生み出しやすくする側面もあります。
- 特徴
レンジで簡単なチーズせんべいのコツ

とにかく手軽に、洗い物を最小限に抑えて「パリパリ」食感を楽しみたい場合、電子レンジを使った方法が最も迅速かつ簡単です。フライパンのような香ばしさ(焦げ感)は出にくいですが、スナック菓子のような非常に軽い食感の「チーズせんべい」があっという間に完成します。
この調理法の最大のポイントは、必ずクッキングシートを使用することです。耐熱皿に直接チーズを乗せてしまうと、溶けたチーズが冷えて固まる際に強力にこびりつき、剥がすのが非常に困難になります。
- 準備
- 耐熱性のある平らなお皿に、クッキングシートを敷きます。クッキングシートは、オーブン用のシリコーン樹脂加工がされたものが最適です。
- 配置
- クッキングシートの上に、チーズを重ならないように間隔をあけて配置します。加熱するとチーズは溶けて薄く広がるため、チーズ同士の間隔(最低でも2〜3cm)を十分に空けることが、くっつきを防ぐ重要なコツです。
- 加熱
- 電子レンジに入れ、ラップをかけずに加熱します。電子レンジはマイクロ波で食品内部の水分子を振動させて加熱するため、ラップをすると水蒸気の逃げ場がなくなり、カリカリになりません。加熱時間の目安は機種やチーズの量によって異なりますが、以下の時間を基準にしてください。
- 600Wの場合:約1分30秒〜2分
- 500Wの場合:約2分〜2分30秒加熱中は目を離さず、チーズがフツフツと全体的に泡立ち、縁がわずかに色づき始めるまで様子を見てください。
- 電子レンジに入れ、ラップをかけずに加熱します。電子レンジはマイクロ波で食品内部の水分子を振動させて加熱するため、ラップをすると水蒸気の逃げ場がなくなり、カリカリになりません。加熱時間の目安は機種やチーズの量によって異なりますが、以下の時間を基準にしてください。
- 冷却(重要)
- 加熱直後は、チーズはまだ柔らかく「フニャッ」とした状態です。ここで焦げていないからと追加加熱しすぎると、一瞬で真っ黒に炭化してしまいます。加熱が終わったらすぐにレンジから取り出し、お皿に乗せたまま(またはクッキングシートごと)粗熱を取ります。この冷却の過程で、残った水分が急速に蒸発し、チーズが固まる(アメ化する)ことで、数分後にはパリパリの食感が生まれます。
トースターでの焼き方

オーブントースターは、上下の電熱線からの強い放射熱と伝導熱で、食材の表面にこんがりとした焼き色をつけるのが得意な調理器具です。
ただし、その強力な火力ゆえに、フライパンの弱火調理や電子レンジの急速な水分蒸発とは異なり、チーズ全体を均一に「カリカリ」に仕上げるのは少し難易度が上がります。どちらかというと、食材を香ばしく「焼く」、あるいはチーズを「溶かす」調理に向いています。
カリカリ食感を目指す場合、トースター用のトレーにアルミホイル(くっつき防止加工のもの推奨)またはクッキングシートを敷き、その上でチーズを焼きます。この方法も、チーズをできるだけ薄く広げてじっくり加熱するのが基本です。
最大の注意点は、焦げやすいことです。トースターは火力が強く熱源に近いため、特に縁の部分は油断するとすぐに真っ黒に焦げてしまいます。調理中は絶対に目を離さず、チーズが溶けて泡立ち、表面に焼き色がついたらすぐに取り出す判断が求められます。
多くの場合、トースターは単体でカリカリチーズを作るためよりも、次に紹介する「ベーコン巻き」のように、パンや他の食材と組み合わせて同時に加熱・焦げ目をつける「アレンジ調理」で、その真価を最も発揮すると言えるでしょう。
モッツァレラチーズをカリカリに焼くアレンジ集
- 人気のベーコン巻きレシピ
- ネギを使った和風アレンジ
- ポテトと合わせる活用法
- サラダへのトッピング
カリカリに焼いたチーズは、それだけでも見事な一品として成立しますが、そのポテンシャルはさらに先にあります。少しの工夫や他の食材との組み合わせを加えることで、その楽しみ方は無限に広がります。基本の作り方をマスターしたら、次は応用編としてのアレンジレシピに挑戦してみませんか。
人気のベーコン巻きレシピ

チーズと相性抜群の食材といえば、多くの人がベーコンを思い浮かべるでしょう。この二つを組み合わせた「ベーコン巻き」は、おつまみやパーティーメニューとして非常に人気のある定番のアレンジレシピです。
ただし、このレシピの主役は、記事のテーマである「カリカリ」とした食感ではなく、ベーコンの香ばしい塩気と、加熱されて「とろり」と溶け出すチーズの濃厚な食感のハーモニーです。
多くのレシピが存在しますが、例えば森永乳業の公式サイトで紹介されているレシピ「モッツァレラチーズ6Pのカリカリベーコン巻き」では、手軽な6Pチーズ(モッツァレラタイプ)を使ったものが紹介されています。このタイプのチーズは、プロセスチーズに分類され、フレッシュモッツァレラとは異なり、加熱しても形が崩れにくく、適度なとろけ具合を保つため、こうした調理に適しています。
このレシピのもう一つの特徴は、「餃子の皮」を使う点です。
- まず、餃子の皮の中央にチーズを乗せます。
- 次に、ベーコンを細長く半分(または適当な幅)に切り、チーズを包み込むようにした餃子の皮の上から、全体を巻きつけます。
- あらかじめ温めておいたオーブントースターに入れ、約4〜5分加熱します。
- 餃子の皮の縁がキツネ色になり、パリッとした質感が出始め、同時にベーコンの脂が溶け出してこんがりと焼き色がつけば完成です。
餃子の皮が外側で「パリッ」とした軽快な食感を生み出し、その内側ではチーズが「とろり」と溶け出します。そして、全体を包むベーコンの旨味(イノシン酸)とチーズの旨味(グルタミン酸)が組み合わさることで、強い「旨味の相乗効果」が生まれます。
ネギを使った和風アレンジ

フライパンで香ばしく焼き上げた「カリカリチーズ」は、意外にも和風の食材や調味料と非常に優れた相性を持っています。これは、チーズが牛乳を原料とする発酵食品であり、同じ発酵食品である醤油や味噌と旨味の成分(アミノ酸)において共通点が多いからです。楽天レシピなどの投稿サイトでも、こうした和風アレンジは人気を集めています。
- まず、前述の「フライパンで作る基本のパリパリチーズ」の手順に従い、チーズを香ばしくカリカリの状態に焼き上げます。
- 焼き上がった熱々のカリカリチーズを皿に取り、その上から薬味として小口切りにしたネギをたっぷりと散らします。
- 仕上げに、お好みでだし醤油やポン酢を少量かければ、風味豊かな和風おつまみが瞬時に完成します。
ネギ特有のシャキシャキとした食感と、アリシン由来の爽やかな辛味が、チーズの濃厚なコクと塩気を絶妙に中和し、後を引く美味しさを生み出します。さらにかつお節を振りかけたり、七味唐辛子で辛味を加えたり、仕上げにごま油を数滴垂らしたりと、アレンジの幅は非常に広いです。
ポテトと合わせる活用法
チーズとポテト(じゃがいも)は、グラタンやラクレットを筆頭に、世界中で愛される「黄金の組み合わせ」です。これをカリカリ食感に応用したものが、YouTubeなどの動画プラットフォームでも人気の「ガレット風」のアレンジです。
このレシピは、単なるおつまみを超え、朝食やブランチにもなる満足感のある一品に仕上がります。
- じゃがいも(ポテト)は皮をむき、スライサーや包丁で細い千切りにします。この時、切ったじゃがいもを水にさらさないのがポイントです。じゃがいもに含まれるデンプンが「つなぎ」の役割を果たし、生地をまとめやすくします。
- フライパンにバターを溶かします。バターの風味(酪酸)がじゃがいもとチーズの風味を格段に引き上げます。
- 千切りにしたポテトをフライパン全体に薄く広げ、塩こしょうで下味をつけます。
- 弱火〜中火でじっくりと加熱し、ポテトの片面がカリッと固まり、香ばしい焼き色がついたら、フライ返しで慎重に一度ひっくり返します。
- 焼けた面の上に、モッツァレラチーズ(またはピザ用チーズ)をお好みの量だけ乗せ、フライパンに蓋をしてチーズがとろりと溶けるまで数分間蒸し焼きにします。
- 最後にもう一度ひっくり返し、チーズの面にも直接火を当てて焼き色をつければ、外はカリカリ、中はホクホクとしたじゃがいもの食感、そして中心にはとろけるチーズが隠れた、ボリューム満点の一品が完成します。
サラダへのトッピング

カリカリに焼き上げたチーズは、サラダの食感と風味を劇的に向上させるトッピングとして、非常に優れた活用法があります。これは、雪印メグミルクの公式サイトで紹介されている「カリカリチーズのサラダ」など、多くのメーカーも推奨する食べ方です。
この活用法は、一般的なサラダに使われる「クルトン」の役割を、チーズが代替するイメージです。
- まず、「フライパンで作る基本のパリパリチーズ」または「レンジで簡単なチーズせんべい」の手順で、チーズをカリカリ(パリパリ)の状態にします。
- 加熱直後は柔らかいため、必ず粗熱が取れるまでしっかりと冷まします。冷めて水分が飛ぶことで、手で簡単に割れる硬さになります。
- 冷めて固まったカリカリチーズを、手で一口大や、さらに細かくクラッシュ状に適当な大きさに割ります。
- いつものサラダ(特にレタスやトマト、アボカドを使ったシーザーサラダやコブサラダなど)の上に、トッピングとして食べる直前に散らします。
サラダのシャキシャキとした瑞々しい食感の中に、チーズの「カリカリ」とした全く異なる食感が加わることで、食べていて飽きないアクセントが生まれます。さらに、チーズが持つ濃厚な塩気と旨味が、ドレッシングだけでは出せない深いコクをサラダ全体に加え、一皿の満足度を格段に引き上げてくれます。
モッツァレラチーズをカリカリに焼くのを楽しもう
- モッツァレラチーズをカリカリに焼く方法は複数あります
- 最も香ばしく本格的に仕上がるのはフライパンでの調理です
- フライパン調理の鍵はテフロン加工と弱火でじっくり焼くことです
- 強火で加熱すると水分が飛ぶ前に焦げて失敗の原因になります
- 最も手軽で早いのは電子レンジを使った調理法です
- レンジ調理ではクッキングシートが必須で、冷ますと固まります
- レンジで作る方法はパリパリとしたチーズせんべいに仕上がります
- トースターは単体でカリカリにするよりアレンジ調理に向いています
- モッツァレラチーズは水分が多く、じっくり焼く必要があります
- ピザ用チーズは水分が少なく、カリカリになりやすいですTC
- 失敗の原因は水分の多いチーズを強火で加熱することにあります
- 人気のベーコン巻きはトースターで手軽に作れます
- 焼いたチーズにネギと醤油をかければ簡単な和風おつまみになります
- ポテトと合わせて焼けばボリュームのあるガレット風になります
- 細かく砕いてサラダのトッピングに使うのもおすすめです
