モッツァレラチーズの天ぷらを絶品に!失敗しない揚げ方のコツ

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モッツァレラチーズ天ぷら

おうちで揚げたてのモッツァレラチーズ天ぷらを楽しみたいけれど、いざ作ろうとすると様々な疑問や不安が浮かびませんか。衣がべちゃっとしてしまったり、揚げ方で破裂させない方法が分からなかったり、そもそも天ぷらに合うチーズは何が良いのか迷うこともあります。また、大葉や生ハムを使ったアレンジや、香ばしい磯辺揚げも気になりますが、美味しく作る自信がないと感じるかもしれません。さらに、冷凍した方が良いという話や、揚げ出しにしてめんつゆなどの合うタレで楽しむ方法、そして気になるカロリーのことまで、知りたいことはたくさんあるはずです。この記事では、そんなあなたの全ての悩みを解決します。

この記事のポイント
  • 失敗しないモッツァレラチーズ天ぷらの科学的なコツ
  • いつもの味を格上げする人気のアレンジレシピ
  • 料理の幅が広がるおすすめの食べ方とタレの種類
  • 他のチーズとの違いやカロリーに関する豆知識
目次

絶品モッツァレラチーズ天ぷらの作り方

成功の鍵はサクサクになる衣の配合

モッツァレラチーズ天ぷら

モッツァレラチーズ天ぷらの美味しさを左右するのは、なんといっても揚げたての衣が奏でる「サクッ」という軽快な食感です。専門店で味わうような、軽やかで油っぽさを感じさせない口当たりは、実はご家庭にある材料でも十分に再現可能です。その鍵を握るのが、衣の科学的な性質を理解した上での配合と調理法にあります。

天ぷらの衣の主役である小麦粉(薄力粉)には、「グルテン」というタンパク質が含まれています。このグルテンは、水を加えて練ることで粘りと弾力のある網目構造を作り出し、パンやうどんのコシの源となります。しかし、天ぷらにとってはこのグルテンの働きが過剰になると、衣が硬く、重たい食感になる「失敗」の原因となってしまうのです。

衣作りの黄金比とポイント

理想的な衣を作るための配合として、薄力粉と片栗粉を「4:1」程度の割合で混ぜ合わせる方法がおすすめです。片栗粉(馬鈴薯でんぷん)は、小麦粉のでんぷんに比べて保水性が低く、加熱後の水分が抜けやすい性質を持っています。これにより、衣のサクサク感が長時間持続し、時間が経ってもべたつきにくい仕上がりとなります。

衣を作る上で、科学的に最も重要なポイントは「グルテンの活動をいかに抑制するか」に尽きます。そのための具体的なアクションが、「冷水を使うこと」と「混ぜすぎないこと」の二つです。

グルテンは温度が低い環境では働きが鈍くなるため、衣を溶く水は冷蔵庫でよく冷やした5℃以下のものが理想的です。さらに、油に入れた際に冷たい衣と高温の油との間に大きな温度差が生まれることで、衣内部の水分が一気に蒸発します。この時にできる無数の気泡の跡が、衣を多孔質(ポーラス)にし、独特の軽い食感を生み出すのです。

また、材料を混ぜる際も、泡立て器で粘りが出るまで混ぜるのではなく、菜箸で数回、切るように混ぜ合わせる程度に留めましょう。粉のダマが多少残っているくらいが「成功のサイン」です。あえて混ぜすぎないことでグルテンの網目構造が発達するのを防ぎ、揚げた時に水分がスムーズに抜ける道筋を確保することができるのです。

揚げ方で破裂させない方法と事前の冷凍

モッツァレラチーズ天ぷら

モッツァレラチーズ天ぷらに挑戦した多くの方が経験する最大の失敗が、揚げている最中に衣が破れ、中のチーズが流れ出してしまう「破裂」です。この現象は、チーズが含む水分の多さに起因します。モッツァレラチーズは「フレッシュタイプ」に分類され、製品によっては約50〜60%もの水分を含んでいます。この水分が高温の油によって急激に加熱されると、体積が一気に膨張する水蒸気となり、衣の内部から強い圧力をかけることで破裂を引き起こすのです。

参考資料:J-milk『チーズ学』

この破裂を物理的に防ぐ最も効果的で簡単な対策が、揚げる前の「事前の冷凍」です。

バットなどにクッキングシートを敷き、水気をよく拭き取ったモッツァレラチーズを並べ、冷凍庫で30分から1時間ほど冷やし固めます。完全に凍らせる必要はなく、表面が硬くなる「半冷凍」の状態がベストです。

この一手間を加えることで、熱伝導に時間差が生まれます。高温の油に投入すると、まず外側の衣とチーズの表面が急速に加熱されて固まり、破裂を防ぐための「壁」が形成されます。一方、中心部は凍っているため、溶け始めるまでに時間がかかります。この時間差のおかげで、衣が安定した後にチーズがゆっくりと溶け始めるため、内部からの圧力に耐えることができるのです。

また、揚げる際の油の温度管理も破裂を防ぐ上で欠かせない要素です。170℃程度の中温に設定し、チーズを静かに入れます。一度に大量に入れると油の温度が急激に下がり、衣が油を吸ってべたつく原因になるため、鍋の表面積の3分の1程度に留めましょう。衣が固まり、軽く色づいてきたら、最後に180℃に少しだけ温度を上げて短時間で揚げることで、油切れが良く、外はサクサク、中はとろりとした理想の食感に仕上がります。

大葉・生ハムや磯辺揚げのアレンジレシピ

モッツァレラチーズ天ぷら

基本のモッツァレラチーズ天ぷらが完璧に作れるようになったら、次は食材を組み合わせることで生まれる味と香りのハーモニーを探求してみましょう。ご家庭の冷蔵庫にある身近な食材を一つ加えるだけで、いつもの天ぷらがお店のような創作料理へと生まれ変わります。ここでは、特に相性が良く、手軽に試せるアレンジレシピをご紹介します。

大葉や生ハムで風味をプラス

爽やかな香りが特徴の大葉(青じそ)は、濃厚なチーズの風味を品良く引き立てる名脇役です。大葉に含まれる香り成分「ペリルアルデヒド」は油との相性が良く、加熱することでその清涼感あふれる香りが一層引き立ちます。キッチンペーパーで水気をしっかり拭き取ったモッツァレラチーズに、大葉の裏側(少しざらざらした面)を内側にしてぴったりと巻きつけ、その上から衣をまとわせて揚げます。チーズのコクと大葉の爽やかさが口の中で一体となり、後味をさっぱりとさせてくれます。

また、生ハムの持つ凝縮された旨味成分(イノシン酸)と塩気は、チーズの旨味成分(グルタミン酸)と合わさることで「旨味の相乗効果」を生み出します。淡白な味わいのモッツァレラチーズに、生ハムを薄く巻き付けて揚げるだけで、何もつけなくても完成された深い味わいのおつまみが出来上がります。生ハムが剥がれないよう、巻き終わりを楊枝などで仮止めしてから衣をつけると、揚げている間に形が崩れるのを防げます。

青のりが香る磯辺揚げ

衣自体に風味を加えるなら、磯辺揚げが最も手軽で効果的なアレンジです。作り方は非常に簡単で、基本の天ぷら衣に、青のりやあおさを適量加えるだけです。豊かな磯の香りがプラスされることで、一気に和の趣が深まります。

このアレンジをより楽しむためのコツは、青のりを衣に混ぜるタイミングです。揚げる直前に混ぜ合わせることで、加熱による風味の劣化を最小限に抑え、揚げたての香りを最大限に楽しむことができます。この磯辺揚げは、シンプルに塩やめんつゆでいただくのがおすすめです。鮮やかな緑色が食卓に彩りを添え、お弁当のおかずとしても喜ばれます。

モッツァレラチーズ天ぷらの楽しみ方

揚げ出しやめんつゆなど合うタレの紹介

モッツァレラチーズ天ぷら

揚げたてのモッツァレラチーズ天ぷらは、そのままでもチーズ本来の優しいミルクの風味を十分に楽しめますが、その魅力は淡白でクセがないからこそ、様々なタレや調味料を受け入れる懐の深さにあります。味付けを少し工夫するだけで、和風、洋風、エスニック風と、その表情をがらりと変えることが可能です。ここでは、定番から意外な組み合わせまで、チーズ天ぷらの可能性を無限に広げるタレの世界をご紹介します。

最も手軽で、多くの人が美味しいと感じる組み合わせが「めんつゆ」です。かつお節や昆布から抽出された「うま味成分」(イノシン酸やグルタミン酸)は、チーズが持つうま味成分と結びつき、「うま味の相乗効果」を生み出します。市販のめんつゆを少し温め、お好みで大根おろしや生姜のすりおろしを添えるだけで、本格的な天つゆの味わいが完成します。

さらに、このめんつゆを主役にした「揚げ出しモッツァレラ」は、ぜひ一度試していただきたいアレンジです。揚げたての天ぷらを深めの器に盛り、温かいめんつゆをそっと注ぎかけます。仕上げに刻みネギや糸唐辛子、鰹節を散らせば、お店で提供されるような上品な和風の一品料理に変身します。出汁をたっぷりと吸ったサクサクの衣と、中からとろけ出す熱々のチーズのコントラストは、まさに絶品です。

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タレ・調味料の種類特徴と相性
めんつゆ・天つゆうま味の相乗効果が期待できる最も定番の組み合わせ。大根おろしや生姜で本格的な味わいに。
チーズ本来の繊細なミルク感を最もシンプルに引き立てる。ミネラル豊富な岩塩や、香り高いトリュフ塩、抹茶塩もおすすめ。
トマトソースチーズとトマトというイタリア料理の王道の組み合わせ。酸味が油のコクを和らげ、揚げピザのような味わいが楽しめる。
スイートチリソース甘み、辛み、酸味の複雑な味わいが、濃厚なチーズと絶妙にマッチ。一気にエスニック風の本格的なおつまみに。
ケチャップ子供から大人まで誰もが楽しめる、安心感のある組み合わせ。フライドポテトのような感覚で気軽に楽しめる。
はちみつ・メープルシロップ甘さと塩気が交互に押し寄せる「甘じょっぱい」味わいがクセになる。デザート感覚で楽しめる意外な組み合わせ。

天ぷらに合うチーズは何?カロリーは?

モッツァレラチーズ天ぷら

モッツァレラチーズの天ぷらは、その独特の伸びる食感が魅力ですが、天ぷらという調理法は他の様々なチーズの隠れたポテンシャルを引き出してくれます。チーズの種類を選ぶ際に考慮すべきは、「融点(溶けやすさ)」「水分量」「風味の特性」です。これらの違いを理解することで、気分や目的に合わせて最適なチーズを選べるようになります。

例えば、カマンベールチーズのように外皮(白カビ)があるものは、揚げると中身がよりクリーミーになります。一方で、プロセスチーズのように乳化剤が添加されているものは、溶けても分離しにくく、形が保たれやすいという利点があります。それぞれのチーズが持つ個性と、揚げた時の変化を知ることは、料理の楽しみを一層深めてくれるでしょう。

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チーズの種類天ぷらにした時の特徴
カマンベールチーズ白カビの外皮が香ばしく揚がり、中身はクリームのようにとろりと溶ける。濃厚でクリーミーな味わいが特徴。
さけるチーズパスタフィラータ製法由来の繊維状の食感が特徴。揚げても程よい弾力と歯ごたえが残り、食べ応えがある。
プロセスチーズ(6Pチーズなど)乳化剤の働きで溶けすぎず形が保たれやすいため、調理が非常に容易。子供にも馴染みのあるマイルドな味わい。
クリームチーズ水分と脂肪分が多く、加熱すると非常に柔らかく滑らかになる。デザート感覚で楽しめるが、破裂しやすいため冷凍処理が必須。

このように、どのチーズも天ぷらにすることで新たな魅力を発見できますが、扱いやすさと、あの「とろーり伸びる」楽しさを求めるのであれば、やはりモッツァレラチーズが最も適していると考えられます。

また、美味しさと共に気になるのがカロリーです。チーズと油を使った揚げ物であるため、決して低カロリーな料理ではありません。栄養成分に関する公的な情報源である「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」によると、モッツァレラチーズのエネルギーは100gあたり269kcalとされています。これに、衣に使う小麦粉や片栗粉、そして調理時に衣が吸収する油のカロリーが加わります。油の吸収率は衣の作り方や揚げ時間によって変動しますが、一般的には衣の重量の10〜20%程度の油を吸うと言われています。美味しいからといって一度にたくさん食べるのではなく、他のおかずとのバランスを考えながら、適量を楽しむことが大切です。

参考資料:文部科学省『食品成分データベース』

おうちで楽しむモッツァレラチーズ天ぷら

モッツァレラチーズ天ぷら
  • モッツァレラチーズ天ぷらの成功の鍵は衣と揚げ方にある
  • 衣は薄力粉と片栗粉を混ぜ、冷水でさっくりと混ぜるのがコツ
  • グルテンの発生を抑えることがサクサク食感への近道となる
  • チーズの破裂を防ぐには揚げる前の冷凍が最も効果的である
  • 冷凍庫で30分から1時間ほど冷やすだけで破裂を大幅に防げる
  • 油の温度は170℃の中温でじっくり揚げ始めるのがポイント
  • 大葉や生ハムを巻くだけで手軽に風味豊かなアレンジが楽しめる
  • 衣に青のりを混ぜれば香りの良い磯辺揚げ風に仕上がる
  • 食べ方に迷ったらまずは定番のめんつゆや天つゆがおすすめ
  • 温めためんつゆをかければ本格的な揚げ出しモッツァレラになる
  • 岩塩や抹茶塩はチーズ本来のミルクの風味をシンプルに引き立てる
  • トマトソースやスイートチリソースで洋風やエスニック風にもなる
  • カマンベールやさけるチーズなど他のチーズで作るのも楽しい
  • チーズの種類によって食感や風味が全く異なるので好みに応じて選ぶ
  • カロリーが気になる場合は食べる量や頻度を工夫して楽しむ

この記事を書いた人

フードライター兼おつまみ研究家

チーズ、ナッツ、オリーブ、生ハム、クラッカーなど、おうち飲みをちょっと特別にする【オツマミ】の魅力を、丁寧にわかりやすくご紹介しています。

食文化を学び、現在は在宅ワークの傍ら、家で楽しむ本格おつまみライフを日々探求中。

「気軽なのに本格的」なペアリングの世界を、ぜひ一緒に楽しみましょう!

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